戦略日記
努力に逃げ込み成果に厳しくない社長 #268
「もっと頑張れ」「気合が足りない」成果が出ない場面で、こうした言葉が飛び交うことは珍しくありません。しかし私は、努力のみで経営や人生の結果が決まるとは思っていません。(私自身、かつては「努力さえすれば成果に繋がる」と本気で信じていました)努力が悪いということではなく、成果を分けるのは、瞬間的な頑張りではなく、あらかじめ組まれた戦略設計です。
多くの人は、成果が出た瞬間だけを見て評価します。売上が伸びた、結果を出した、成功した。しかし現実には、成果の正体はもっと地味です。誰にも見られない日常の積み重ね、その日常の「質」と「量」が生み出す再現性が、時間をかけて静かに差を広げていきます。
一時的な努力は、確かに派手に映ります。徹夜で資料を作る、気合で数字を追う、無理をして乗り切る。こうした行動は、その場では称賛されるかもしれません。しかし、それが毎回必要になる状態は、そもそも設計が間違っています。毎回全力疾走しなければ成果が出ない仕組みは、当然、長続きしません。人も組織も、いずれ必ず疲弊します。
本当に強い人、強い会社は、努力を最小化する設計を持っています。やる気がある日でも、ない日でも、一定の行動が淡々と実行される。成果につながる行動が、特別な決意なしに再現される。その状態をつくることこそが、設計の力です。
設計とは、意志の力に頼らない仕組みづくりです。いつ、何を、どの順番でやるのか。判断を減らし、迷いをなくし、行動が自動的に流れるように整えること。ここが曖昧なまま、「頑張ろう」と唱えても、結果は安定しません。
また、設計の差はすぐには表に出ません。最初の半年、1年程度では、努力型の人の方が成果を出すこともあります。しかし、2年、3年と時間が経つほど、差は逆転します。設計された日常を持つ人は、淡々と前に進み続け、気づけば到達点がまったく違う場所になっているのです。
とかく中小企業の社長は、努力に逃げ込みやすく、成果に対して厳しくない風潮があります。頑張っていること自体が免罪符になり、結果が出ていなくても「仕方がない」と自分を納得させてしまう。しかし、経営の世界で評価されるのは努力ではなく成果です。そして成果は、根性の証明ではなく、日常の設計が正しかったかどうかの結果にすぎません。
派手な努力は目立ちますが、静かな設計は目立ちません。努力を称える前に、設計を疑う。その視点を持てるかどうかが、長期的な成果を分ける分岐点になります。