戦略日記

経営における変化の本質 #269

経営における変化の本質 #269

「このままではいけない」経営者であれば、誰もが一度はそう感じたことがあるはずです。むしろ、そう思ったことが一度もない経営者の方が少数でしょう。

では、実際に何が変わったのでしょうか。忙しさは増えました。やることも、会議も、取り組みも増えました。売上が伸びた年もありました。しかし、本当の意味で経営の中身は変わったと言えるでしょうか。

経営において、変わったかどうかは気持ちでは測れません。判断基準は、結果だけです。その結果を最も端的に示す指標が、一人当たりの粗利益額です。ここが増えていないのであれば、どれだけ新しい施策を打っても、どれだけ努力しても、経営の構造は何も変わっていないと言えます。

よくあるケースとして、「経営の勉強はしている」「学び続けている」という経営者がいます。セミナーに参加し、本を読み、勉強会にも足を運ぶ。その姿勢自体は立派です。一人当たりの粗利益が増えていないのであれば、それは学んでいないのと同じです。少なくとも、経営においては「学びになっていない」と言わざるを得ません。

知識が増えることと、経営が良くなることは別物です。理解した気になることと、構造が変わることは全く違います。学びとは、本来、数字を変えて初めて意味を持ちます。

変化とは、やることを増やすことではありません。本質的な変化は、必ず引き算から始まります。地域や客層を絞ったでしょうか。勝てない仕事を断ったでしょうか。価格を下げる選択をやめたでしょうか。分散していた経営資源を、一点に集中させたでしょうか。

これらを決断した結果として、一人当たりの粗利益が上がります。これこそが、「変わった経営」の明確な証拠です。逆に言えば、数字が変わっていないにもかかわらず、「改革した」「進化している」と語るのは、戦略ではなく自己満足に過ぎません。経営者が変われない理由は、能力不足ではありません。環境の問題でもありません。問いが甘いのだと感じます。

人は本能的に変化を嫌います。現状を壊すことには不安が伴い、決断には痛みが生じます。そのため、「変えなければならない」と考えることで、実際には行動しない自分を正当化してしまいがちです。

変化は決意ではなく、結果で示されます。数字が変わったなら、経営は変わっています。変わっていないのであれば、それは何かが間違っているというシグナルです。その現実を直視すること。そこから、次の一手が始まります。