戦略日記
中小企業はカテゴリ1位を定義せよ #288
「経営に目的を見い出せ目的は、強い意志を生み出す」これは経営八策の2番目で、毎月の経営実践ジムで会員さんと読み合わせています。
経営において最も危険なのは、「何となく経営している状態」だと思います。売上を増やしたい。利益を残したい。会社を続けたい。もちろん、それらは大切です。
しかし、それだけでは、経営者に本当の覚悟は生まれません。なぜなら、人は“目的”が曖昧なままでは、苦しい時に踏ん張れないからです。ランチェスター戦略を学んでいても、多くの経営者は、どこかで「もっと広く売上を取りたい」という誘惑に引っ張られます。もっと広い地域へ。もっと多くの客層へ。もっと色々な商品を。すると、経営資源は明らかに分散していく。そして、その瞬間から、会社の力は薄まっていきます。
中小企業の最大の武器は、“集中”です。本当に重要なのは、「何をもって一位になるのか」を決めることです。どの地域で。誰に対して。何の商品・サービスで。ここを明確にする。
例えば、「○○地域で■■といえば、あの会社だよね」と、自然に名前が出る状態をつくること。これが地域戦略であり、客層戦略であり、商品戦略です。逆に、どこでも。誰にでも。何でも。この状態では、お客の記憶には残りません。結果として、価格比較され、利益が残らず、疲弊していく。中小企業は、全国区になる必要はないのです。
必要な地域で、必要な人に、真っ先に思い出される存在になればいい。だからこそ、経営に“目的”が必要なのです。そして、その目的が固まってこそ、強い意志を生み出します。「あの地域では負けない」「この分野なら一位を取る」その決意が、日々の判断を変え、行動を変え、会社を変えていく。
しかし、ここで多くの経営者が苦しみます。なぜなら、一点集中とは、“やらないこと”を決めることだからです。頼まれた仕事を全部受けない。誰にでも売らない。何でも扱わない。
つまり、覚悟とは、やらないことを決めることと言えます。これは簡単ではありません。断る怖さ。狭める怖さ。売上が減るかもしれない不安。経営者なら誰しも感じます。しかし、広げれば広げるほど、会社の濃度は薄くなっていく。
例えば、青いインクを一滴落とすとしても、コップに入れるのか。バケツに入れるのか。プールに入れるのか。当然、濃さは変わります。中小企業の経営資源は限られています。だからこそ、狭い範囲に集中し、局地戦で圧倒的な存在になる必要がある。
本当に、何のカテゴリで一位になるのか。ここを明確にしなければ、戦略は始まりません。そして、決めた一点に一意専心で展開する。広げる前に、まず深める。増やす前に、まず濃くする。中小企業が生き残る道は、これしかないのです。