戦略日記

経営の差は無知の知にあり #173

経営の差は無知の知にあり #173

ユニクロなどを展開するファーストリテイリング社の入社式が先日行われ、柳井会長兼社長は新入社員へ向けて「無知の知。無知の知をぜひ自覚してください。」とメッセージを伝えました。

「無知の知」とは、古代ギリシャの哲学者であるソクラテスが提唱した概念で、「不知の自覚」とも呼ばれています。自分に知識がないことを自覚し、真摯に自分と向き合い、真の知識への探究をすることが大切だという意味です。つまり、知らないことを自覚し、知ったつもりにならず、自分がまだわからないことはわからないと認めるべきという考え方です。

さらに、「無知の知」から一歩進んだ「5段階の無知」という考え方とレベルがあります。

無知レベル0:無知の欠如
知らないことがない状態。つまり、全てを知っている状態です。

無知レベル1:知識の欠如
知らないことはあるが、自分が知らないことを認識している状態です。

無知レベル2:気づきの欠如
知らないことすら認識していない状態です。

無知レベル3:過程の欠如
知らないことすら認識していないだけでなく、その状態を改善しようとしない状態です。

無知レベル4:無知以前
無知のレベルがあることすら知らない状態です。

経営者に置き換えると、そもそも経営の知識を知らずにいると、本来しなくてもよい苦労をする状況に追い込まれてしまいます。これは、「知らないことを知っていると思い込んでいること」が愚かであるという教訓として捉えることができます。

「経営の差は、知識の差。知識の差は社長の差。」と言われるように、経営者は経営がどのような要因で成立しているのかの本質を知らなければなりません。知らないから経営が上手くいかないのです。知らないから負け続けてしまうのです。真に学ぶためには、謙虚な姿勢を忘れないことが重要です。