戦略日記
継続こそ経営者の胆力 #229

ランチェスター戦略は、経営資源が乏しい弱者が大手企業など強者に勝つための法則に基づく経営論です。簡潔に言えば、市場を絞り、地域や顧客を特化し、差別化を図っていくことです。その指針は実に明快で本質的です。
しかしながら、多くの経営者がこの戦略を学んだにもかかわらず、残念ながら途中でやめてしまい、結局は元のやり方に戻ってしまうケースは少なくありません。その理由の一つには、「明日、すぐに成果が出ない」ことにあります。
経営活動はゴーイングコンサーンであり、ランチェスター戦略も持続可能性を高める長期戦であると言えます。今日やって明日すぐに成果が出る類のものではないのです。一方で、SNS広告やキャンペーン施策など、目に見えて反応が得られる戦術は魅力的に映ります。結果として、多くの経営者は「戦略より戦術」に流されていきます。
また、ランチェスター戦略の本質は「戦わずして勝つ」ことにありますが、それは簡単なことではありません。市場を絞ったり、差別化には覚悟が必要になります。
経営は習慣の集積であり、学んだ戦略を成果に変えるには、行動を定着させる環境と継続的な自己点検が不可欠です。学ぶことより、続けることの方が難しい。だが、そこにこそ、競合他社との差が生まれるのです。
「戦術は戦略に従う」「戦略のミスは戦術で取り返せない」という格言の通り、戦術は一時的な効果を生むが、戦略がなければ持続は不可能です。ランチェスター戦略を継続するには、未来の成果を信じて耐え抜く覚悟と、売上に踊らされない経営視点が不可欠となります。
派手さはなくとも、地に足をつけた積み重ねこそが最終的に圧倒的な差を生むのです。「継続は力なり」という重要性を痛感しているこの頃です。目に見えない種まきの継続こそが経営者としての「あり方の本質」として問われます。