戦略日記

ノーリスク ハイリターンを求めている #283

ノーリスク ハイリターンを求めている #283

リスクとは、企業の目的達成や存続を阻害する「不確実な要因」です。経営活動はシンプルで「ハイリスク・ハイリターン」か「ローリスク・ローリターン」この原則から逃れることはできません。

しかしながら、多くの中小企業経営者は、心のどこかでこう考えています。「できればリスクは取りたくない。でも大きく儲けたい」つまり、“ノーリスク・ハイリターン”を無意識に求めているのです。

・売上は上げたい
・でも失敗はしたくない
・新しいことはやりたい
・でも今の顧客は失いたくない

この矛盾した願望が、経営を曖昧にします。例えば、高単価商品もやりたいが、低価格商品も捨てられない。価格も上げたいが、数も増やしたい。地域を広げたいが、今の商圏も守りたい。一見、バランスの取れた経営に見えます。しかし実態は、「何も捨てられない経営」です。これはまさに、ノーリスク・ハイリターンを狙っている状態です。リスクを取らずに、すべてを取りに行こうとしている。

ですが、現実は逆です。分散すればするほど戦力は薄まり、どの市場でも中途半端になり、価格競争に巻き込まれ、利益が残らない。つまりそれは、ハイリスク・ローリターンという最悪の状態です。重要なのは、「リスクを取るかどうか」ではありません。「どうすれば勝ちやすい状態をつくれるか」です。

ランチェスター戦略では、その答えは明確です。

・地域を絞る
・客層を絞る
・商品を絞る

「どこの誰に何を」を徹底的に限定することです。一見すると、これは売上を減らす行為に見えるかもしれません。実際、絞り込めば一時的に売上が落ちることもあります。だから多くの経営者は怖くなり、分散に戻ってしまう。しかし、これこそが最大の罠です。分散は安全ではありません。むしろ、最も危険な戦い方です。

一方で、絞り込むとどうなるか。戦場が狭くなり、同じ経営資源でもシェアが高まる。シェアが高まれば、選ばれる確率が上がり、価格決定権が生まれ、利益が残る。つまりこれは、
リスクを抑えながら、リターンの確率を高める戦い方です。

ハイリスクを取る必要はない。しかし、リスクから逃げてもいけない。“捨てる覚悟”を持ち、戦う場所を選ぶこと。これこそが、唯一の現実的な勝ち筋です。

経営とは、「どれだけ頑張るか」ではなく、「どこで戦うか」で決まります。ノーリスク・ハイリターンは存在しません。しかし、勝ちやすい場所に立てば、結果として高いリターンは手に入ります。分散は死を招き、集中こそが、中小企業の生き残る道です。

戦略とは見えざるもの。その見えざる選択が、すべての結果を決定しているのです。