戦略日記

信用の積み重ね #293

信用の積み重ね #293

これまで数多くの経営者と出会ってきました。業績を大きく伸ばした経営者もいれば、思うような成果を上げられなかった経営者も見てきました。その中で、一つ確信していることがあります。信用は、才能や実績ではなく、「凡事徹底」から生まれるということです。

遅刻をしない。納期を守る。口約束を忘れない。返信を後回しにしない。約束したことは必ずやり切る。どれも当たり前のことばかりです。だから軽く見られがちですが、信用とは、この当たり前をどれだけ徹底できるかで決まります。

よく「小さなことでクヨクヨするな」と言われることがあります。もちろん、失敗をいつまでも引きずる必要はない。しかし、経営においては、小さなことにこそこだわる必要があると思っています。なぜなら、人の本質は、大きな出来事ではなく、小さな行動に現れるからです。

約束の時間を守る。依頼されたことを期限内に終える。電話やメールを放置しない。こうした一つひとつの積み重ねが、「この人なら安心して任せられる」という評価につながります。不思議なことに、会社が長く続く経営者ほど、こうした小さなことを決して疎かにしていません。

反対に、経営が不安定な人ほど、「これくらい大丈夫」「忙しかったから仕方ない」という言葉が多い。そして、その小さな緩みは、やがて綻びとなって組織運営、お客様との信頼関係にも表れてきます。経営は突然悪くなるのではないのです。

日々の小さな油断が積み重なり、ある日、大きな問題として噴き出すのです。だから私は、会社を見るとき、立派な経営理念や売上よりも、社長の日頃の振る舞いを見ます。時間を守る人か。約束を守る人か。相手への配慮ができる人か。このような小さなところに会社の未来が表れていきます。会社の文化は、社長の習慣そのものだからです。

社長が凡事を徹底すれば、その姿勢は社員に伝わる。社員に伝われば、それは会社の文化、風土となる。文化となれば、お客様からの信用となり、やがて会社のブランドへと育っていきます。

私は、大きなチャンスほど小さな信用の積み重ねの上にやって来ると思っています。重要な仕事を任される人。大切なお客様を紹介される人。困ったときに真っ先に相談される人。そのような人は特別なことをしているわけではなく、誰もができる当たり前のことを、誰もができないレベルまで徹底しているだけなのです。

そんな小さな行動の積み重ねが、やがて揺るぎない信用となります。すべては、些事を怠らない「微の集積」から始まるのです。