戦略日記

ランチェスター戦略モデル式の経営指針で会社をオーケストラにする #21

ランチェスター戦略モデル式の経営指針で会社をオーケストラにする #21

営業チーム攻撃力の法則を考えてみましょう。ランチェスター法則の第二法則にもとづき、集団戦の時を想定して自社の営業チームの攻撃力に当てはめてみます。攻撃力=営業活動の質×営業活動の量² と応用できます。

例えば、10人の営業マンがいたら10×10=100の活動量であれば苦労しません。10人いても個々がバラバラに活動していたら足し算にしかなりません。一人で出来ることを二人でやっていたら半分です。一人ひとりの一つひとつの活動が足し算以上の成果となることを相乗効果といいます。

では、営業チームメンバーの個々の活動が相乗効果をいかに発揮させられるのでしょうか。
経営学者のピーター・ドラッガーが「オーケストラの指揮者は、なぜタクト一本で大勢の演奏者を完璧にまとめられのか?それは楽譜があるからである」と言っています。
演奏者は楽譜で演奏しています。どんなに優秀な指揮者でも楽譜なしでは演奏者をまとめられません。楽譜は音楽の共通言語なのです。

営業チームの相乗効果を発揮する第一条件は、共通言語を持つことです。これ以前に共通思考のベースを揃えることも大切です。皆さんの会社には楽譜、すなわち戦略にもとづく共通言語があるでしょうか? 戦略の共通言語(共通思考)が無いのは、楽譜なしのオーケストラのようなものと言えます。演奏が成り立ちません。すなわち経営が成り立ちません。

ランチェスター戦略には様々な共通言語があります。
●売上主義ではなく1位主義
●弱者と強者は規模ではなく、シェアで決まる
●市場の導入期、成長期、成熟期では取るべき戦略が異なる
●ラージABCとスモールabcdで顧客を戦略的に格付け展開する(BtoB特化型)
などなど。

経営の目的はNo.1主義、圧倒的1位になることです。
目的とは的です。何のためにそれを行うのか。この上位にあるのは、経営理念や志、ミッションの実現となります。目的をハッキリと確立し、共有した上で目標、道標を定め戦略、戦術の順に展開していきます。
これらを明確に記した経営指針書(シェアから導き出された売上目標含む)を作成し、全社員に配布し共有するために繰り返し、繰り返しトレースを行っていきます。そしてランチェスター戦略モデルでは明確に実行手順が決められています。この通りに経営指針書を作成して発表会を行うのです。

目的、目標、戦略、戦術がしっかりと共有できている企業が好業績を上げられるのです。なぜなら、戦略によって全社員がこれらを理解することで一丸となって向かうところがハッキリするからです。

相乗効果発揮の第二条件は、業務の標準化です。工場や建設現場では必ず、業務が標準化されています。さらに生産性向上のために日々、改善活動が行われています。反面、営業の現場では属人的な個々の能力やスキルに任せ、業務の標準化がされていない会社が多いです。これでは、何のために会社という中で組織編成がされているのか意味がありません。チームとは、文字通り戦う集団です。仲良しサークル、グループではありません。常に競争相手との戦いになります。

会社であるならば、戦略にもとづくエリア、客層に向かい、商談のプロセス、訪問回数、間隔、商談時間、内容などを段階的に一覧にして、例えばAクラス顧客は新規月2回、Bクラス顧客は月1回、Cクラス顧客は隔月1回などお客さんとの接触機会や接点を設ける仕組みをつくり実行します。間隔が空いていないかなどチェックし、この仕組みが正しく実行されているかを組織として展開させていくのです。(営業マンは、好きなお客さんや行きやすいお客さんのところばかり行ってしまいます)

オーケストラは、多種多様な楽器を演奏する人がいます。会社も同様で、営業チーム以外にも各部署があります。全社員がお客さんへ向かうことでオーケストラのように多重な音を奏でお客さんを魅了するのです。