戦略日記

易きに流れる経営者

易きに流れる経営者

「水は低きに流れ、人は易きに流れる。」という格言がある。

水は、自然と低いほうに流れるように、人は安易な方を選びがちであり、安易な方向へ簡単に流れることを戒めるための言葉だ。

安易なものとしては、ランチェスター経営戦略に置き換えてみると戦術にあたる部分である。戦術が経営全体におけるウェイトは僅か14%

戦術は目に見える。

お客さんや競合から、誰からも具体的になって見える。一方、戦略は目に見えない。経営の根幹となる知恵の部分なので、色や形など目に見えるものがない。

戦術は、目に見えるので、とてもわかりやすい。企業における商品やサービス、ホームページ、営業手法、特別な技術、ノウハウ、社員教育などが該当する。

例えば売上が伸びない。赤字が続いて苦戦している。何とか打開しなければいけないと経営者は苦悩して考えて打ち出す。
よくある策として…

1) 商品やサービスの価格を下げてみよう。(またはキャンペーンをやろう。年中キャンペーンをやっているケースをよく見る)
2) 色や形など仕様を変えてみよう。または性能を上げてみよう。
3) もっと集客できるホームページやチラシをつくってみよう。
4) YoutubeやInstagramがいいらしいのでやってみよう。
5) 社員のモチベーションとスキルを上げて、もっと売れるようにしよう。

他に、この数年では補助金制度を活用して新たな事業分野へ進出しよう等もある。

これらは全て戦術だ。これを触っていると何とかなると経営者は真剣に思っている。無理だ。これだけでは一時的に瞬間風速で良くなることはあっても長続きはしない。

物事には順序というものがあり、戦略が決まってから戦術展開が定石となる。

さらには、競合他社も同じようなことをやっているので、いつまで経っても競争優位に立つことができない。もっと言えば、経営に再現性がないということになる。

戦術は目の前に起きている部分となるので、どちらかというと楽なことになる。反面、戦略構築においては、市場、競合、自社のことなど市場占有率をはじめ、色々と調査や分析する事項が山のようにあるので大変面倒だ。

このように面倒なことが続き、すぐには成果に直結せず時間がかかってしまう。そうなると「これはダメだ。」という判断になり、次の戦術施策にまた走り出す。ゲームセンターのモグラ叩きゲームを延々と続けることと同じになる。

人は、ついつい安易に流されてしまう習性がある。

「戦術は戦略に従う。」という言葉の通り、上位上流の戦略を構築できてこそ、戦術が活かされるのである。いわば川が流れるが如く、戦略に基づく経営の仕組み(ビジネスモデル)をつくってこそ経営者である。これこそが一番大切且つ大きな仕事であると戒めたい。