戦略日記

社長は誰から学ぶかで決まる #308

社長は誰から学ぶかで決まる #308

社長という仕事は、孤独なものです。売上が伸びない。利益が残らない。社員が育たない。資金繰りが厳しい。経営をしていれば、悩みが尽きることはありません。そんなとき、社長は誰に相談するのでしょうか。

社員でしょうか。家族でしょうか。それとも、親しい経営者仲間でしょうか。経営の問題であれば、少なくとも経営の責任を負っている人、できれば成果を出している経営者に相談したいものです。さらに言えば、一時的に成功した人ではなく、長年にわたって成果を出し続けている経営者が望ましいと思います。

一瞬の成功は、偶然でも起こります。しかし、成功し続けることは偶然ではできません。そこには、成果を生み出す考え方や判断基準、経営の原理原則があるからです。

この原理原則が大変重要です。売上が落ちれば営業を強化する。利益が減れば経費を削減する。社員が育たなければ教育を増やす。人が辞めれば採用に力を入れる。しかし、それぞれの問題に個別に対処しても、経営全体が良くなるとは限りません。

経営とは、部分最適の積み重ねではなく、全体最適を実現することです。真の経営を学ぶとは、目の前の問題への対処法を増やすことではなく、問題を生み出している構造を理解し、会社全体が良くなる仕組みをつくることなのです。だからこそ、経営全体を見渡して助言できる人から学ぶ必要があります。

ところが、ここに大きな問題があります。人は、自分と同じような考え方や価値観を持つ人と付き合いやすいものです。 また、成果を出し続けている経営者ほど、付き合う相手を慎重に選んでいます。学ぶ意欲のない人に、わざわざ時間を使い、嫌われる覚悟で厳しい助言をしてくれるとは限りません。本当に価値のある助言は、誰にでも与えられるものではないのです。

そして、もう一つ怖いことがあります。人は、比較対象によって、自分の評価を変えてしまうということです。身近な経営者も売上に苦労している。利益が出ていない。社員の問題を抱えている。それを見て「どこも同じようなものだ」と安心してしまう。しかし、周囲と同じだからといって、自社の経営が正しいとは限りません。間違った経営同士で比較しても、正しい答えは出てこないのです。

本来、比較すべき相手は、同じように苦労している経営者ではなく、同じような条件の中でも成果を出し続けている経営者ではないでしょうか。私が長年、多くの経営者と接してきて感じるのは、経営者の成長を妨げる最大の壁は、知らないことではなく、知らないことに気づいていないことだということです。

だからこそ、社長には自分より高い視座を持つ人との付き合いが必要なのです。時には厳しいことを言ってくれる人、自分の固定観念を壊してくれる人、そして自分自身も学び続けている人です。

誰と付き合い、誰から学び、誰の言葉に耳を傾けるのか。それもまた、経営者にとって重要な戦略だと思います。大切なのは、誰に相談するか。そして、その助言を受け入れ、自分自身を変える覚悟があるかどうかです。

社長にとって本当に必要なのは、自分を安心させてくれる人でしょうか。それとも、自分を成長させてくれる人でしょうか。