戦略日記

真の経営努力 #113

真の経営努力 #113

約30年続いたデフレ経済は終焉となり、インフレ経済にシフトしています。

2023年の値上げ率予測は平均で18%となっていて、昨年、一年間平均の14%を上回り、原材料の高騰やコストの増加、人件費の上昇などで大幅な値上げを行う企業が相次いでいます。

総務省や調査会社によれば、2023年に値上げされる品目は次の通りとなっています。

冷凍食品や水産缶詰などの加工食品が3798品目
輸入ワインなどの酒類・飲料は1442品目
しょうゆやドレッシングなどの調味料は1343品目

合計で7,000品目以上です。

経営者団体のアンケートを見ると、価格転嫁が出来ている企業は3割に満たないというデータが示す通り、7割以上の企業は必然的に利益を圧迫して苦戦を強いられている状況となっています。

「どのような経営努力をしていますか?」と尋ねられたら、あなたは、何と答えますか?

よくある回答としては、「安く売って、更に量を増やす。」大半の経営者は、このように思っています。

安く売って利益を出そうとすると、当然ながら販売量を上げる必要があります。

実際に戦略MQ会計の利益構造でシュミレーションしてみると、10%の値下げを行うと30%以上の販売量アップが必要です。更に20%の値下げを行うと2倍以上の販売量アップが必要となり、30%の値下げを行えば、4倍以上の販売量が必要です。

次に考えられることは、従業員の賃金を安くして、長時間働いてもらう発想です。これでは、言わずとも結末は見えてしまいます。

真の経営努力とは、どのようなものでしょうか。

経営の根幹であり、位置づけの上流となる戦略構築することに他なりません。どこの地域のどのようなお客さんを対象とするのかという設定から始まります。

そのお客さんに
1. どのように知っていただき(見つけてもらうか)
2. 使っていただき
3. 続けていただき(ご紹介をいただく)
という経営努力を続けていくことです。

経営者の多くは、強力なリーダーシップで「社長一人が会社を引っ張る。」という発想から「戦略という仕組みを使って、会社を引っ張る。」という発想に切り替えなくてはいけません。

前述の経営者団体のアンケートのまとめに「コスト上昇に対して、様々な経営努力が求められるのは勿論ですが、価格転嫁は個々の企業の自助努力だけでは解決できない問題であるため、現政権へ実効性のある施策がとられることを期待する。」とありました。

経営努力は、決して戦術的対応に翻弄されることではなく、実効性のある戦略システムをつくること。

誰が、いつ、何度やっても同じ成果が出せる経営システムであり、誰もが成果を出せることが出来るように再現性を高くすることに尽きます。