戦略日記

勝つか負けるか #137

勝つか負けるか #137

「経営者は命がけである。」と言われています。これは、会社の存続と成長を担う責任があるので、経営がうまくいかなければ、企業は倒産し、社員は失職することになります。常に経営のリスクと隣り合わせであるということです。

経営におけるリスクは様々なものがあります。会社の存続を前提にした場合、競合との戦いがあります。好きとか嫌いに関わらず、市場(お客)から支持をいただくためのシェアを獲得する戦いをしています。

ランチェスター戦略と孫子の兵法は、非常に親和性の高いものがあります。勝つか負けるかでいうと、経営者は先ず、いかに「負けない経営をするか。」を考え続けなければなりません。

経営において負けとは、経営目標を達成できないことです。経営目標には、売上目標、利益目標、成長目標など、さまざまなものがあります。経営目標を達成できないと、企業は存続していくことが難しくなります。

経営において負ける原因は、さまざまな要因が考えられます。例えば、経営者の能力不足、市場環境の変化、競合他社の優位性などです。経営において負けないようにするためには、経営目標を明確にし、計画を立て実践することです。

「とりあえずやってみよう。」「やってみれば何とかなる。」という安易な考えは禁物です。

孫子の兵法で「算多きは勝ち、算少なきは勝たず。」があります。戦う以前に勝算が多かった方が勝ち、勝算が少なかった方は負ける。そもそも勝算がないようでは話にならないという考え方です。そして、準備段階、作戦段階で勝てるかどうかはわかるだろうと言うのです。事前に勝算を高めるために準備を万全にする。これが負けないために重要なことです。出たとこ勝負で、何とかなるだろうという考え方ではダメなのです。

更に「勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む。」とも言っています。勝つ方は先に勝つという見通しがたってから戦い、一方、負ける方は戦いを始めてからどうやったら勝てるかを考えていることです。

これを経営でいえば、新規事業を立ち上げる際に、徹底的に市場調査と競合他社の分析を行い、戦略を立てる必要があるということです。このようにしなければ、勝つどころか負ける確率が高まるのは自明の理となります。

戦争でいえば、トップリーダーの意思と采配で負けてしまったら兵員の命はなくなり、国さえも滅亡してしまいます。会社も同様で業績は上がらず、大切な社員は疲弊し、消耗戦を繰り返すこととなり存続すら危うくなります。

声高らかに「地域に貢献する。」「社員や家族を幸せにする。」と言っても、虚しい結果になることは必定です。負けない経営者になることが最も賢明です。