戦略日記

未だに迷信や妄想を繰り返している #138

未だに迷信や妄想を繰り返している #138

2024年問題にあるように、あらゆる業種において人手不足が経営課題となっています。

ある調査機関によると、直近では正社員の人手不足の割合は、全業種平均で45.9%という結果となっています。これは、コロナ禍前の2019年の50.3%に近い水準です。特に情報サービス業では64.6%となり、IT人材の不足が目立っています。

非正社員の業種別においては、飲食業が77.3%のトップで次いで旅館・ホテル業が56.1%と相当深刻な状況です。ニュースでコロナ禍が落ち着き、インバウンドを含め観光地へ人が大量に戻ってきたもののスタッフの人手不足により、席が空いていても対応ができないため入店を断っている状態が報道されています。

また若い人材の転職率も最近10年間において過去最高の水準になっています。転職理由の1位は「給与が安かった。」となっています。転職で年収が上がった人は39.5%で、これも過去最高となっています。若い世代は、終身雇用に対する価値が大きく変わっていると推測されます。

戦略もなく、これまでの既成概念で採用活動を行っても”問い合わせすら無い”となるのも残念ながら致し方ないと言えます。

日本の人口は、毎年約80万人が減少しており、出生数が下がっているので人口が増えることはあり得ません。市場は益々、縮小していきニーズや価値も複雑多様化しているので更に細分化しています。

これらの外部環境を考えてみると、従前通り「人を多く採用して、数を多く売って売上を上げていこう。」という経営は不可能であると言えます。更に、中小企業の大半の経営者がここで一緒に考えるのは「価格を安くする。」ということです。「モノは安く、大量に。」という考えです。

競争相手に勝とうと思い、先ず最初に思いつく差別化は価格だと信じ込んでしまっており今や迷信、妄想と言えます。シェアが総じて低い中小企業が元来、このような経営を続けていけば疲弊するばかりで存続すら危うくなることを根本的に理解していないからです。(この辺りは、利益構造セミナーで数値根拠をもってお伝えしています)

売上を上げることが経営の目的となってしまっている経営者に多い失策とも言えます。これまでのようにヒトやモノなど量を多くしようというスケール拡大の経営は不可能ということです。

何事も成果=質×量となります。この質を戦略として経営に活かすことが急務となります。

ランチェスター戦略社長塾の1回目を終了した時に受講経営者から聞く感想は「このように経営自体を考えてみたこともなかった。」「戦略を知らずに感覚で経営を行っていた。」「もっと早く知りたかった。」と必ずと言っていいほど、異口同音となります。

銀行が企業を見た場合における倒産原因の1位は、経営者の知識不足です。経営者が戦略という基礎知識を知らずに経営をしている恐ろしさを改めて痛感します。経営者は「知らない。」では済まされないのです。

経営者は自分の会社が倒産してしまうとは微塵にも思ってもいない…..