戦略日記

先回りして備えよ #163

先回りして備えよ #163

孫子の兵法の虚実篇に「善く戦う者は、人を致して人に致されず。」という教えがあります。「先に戦場に着いて、敵軍の到着を待ち受ける軍隊は余裕を持って戦うことができるが、後から戦場にたどり着いて、休む間もなく戦闘をする軍隊は苦しい戦いを強いられる。したがって戦上手は、敵を思うがままに動かして、決して自分が敵の思うままに動かされるようなことはしない。」という意味です。

経営でいえば、先手を打っていれば楽に余裕を持って戦えるはずなのに、ギリギリになって後手後手となってしまい、慌てて手を打っても結局は手遅れとなることがあります。競合ライバル企業との戦いにおいても勿論のことです。

つまり、主導権を握る先行管理ができていない状態です。

社内における先行管理とは、一ヵ月後、二ヵ月後、三ヵ月後、できれば半年後くらいまで見通して、今、何を為すべきかを考えていくマネジメントを指します。例えば営業活動で考えてみれば、企業の業種特徴などにもよりますが、平均で商談が成立する期間を算出してみます。最低でも三ヵ月間はかかる場合だったとすると逆算して四ヵ月後までの受注見込みを把握して手を打っておかなければなりません。当月の売上が足りないと慌てふためいて焦ったとしても、そもそも商談成立までに三ヶ月かかってしまうので「時、既に遅し」となってしまいます。

そうではなく、三ヵ月後、四ヵ月後と先の見通しを立てて受注見込み、売上見込みを把握する必要があります。そして、見込みが少ないなら少ないと判明させることを機能的且つ迅速に出来て、手を打つ。この時点で手を打っておくから、三ヵ月後、四ヵ月後に成果が出るわけです。終わってしまった業績数値を縦や横に並べたり、ひっくり返したような様々なデータをExcelにして、苦虫潰したような顔であれこれ言うばかりの会議は時間の無駄で不毛となるので止めた方がいいでしょう。

同時に、先行指標というものを作っていきましょう。たとえば、受注や売上などは、結果として出てくるものであって、これを見ているだけでは結果指標による管理だと言えます。実際には受注や売上の前には、新規の見込創出数や、そのために行われる営業マンの訪問件数などの活動があります。これら結果が出るまでのプロセスにおける指標のことを先行指標と言いいます。この先行指標をマネジメントすることが戦略経営の一つであり、経営者や経営管理者の本来の仕事と言えます。

「管理の本質は異常を発見し、正常にすることです。」つまり、常に先回りして備えておくことが重要となります。一年間の週は、53週あります。(暦によっては52週)これらを基にして、例えば社内で会議を機能的にすれば53回の経営管理を行うことが出来ます。

違った観点では、「遅刻してはダメですよ。」と言われます。これは「時間を守る=約束を守る」という重要性は無論のこと、時間に間に合わなければ準備ができず戦えない、成果に繋がらないという教えになります。

戦略の「略」は知恵となり、準備の量が多い企業は強くなります。何事も先手を打ち、仕掛けて待つことが大切です。