戦略日記

リスクヘッジという名目の多角化こそ危険 #6

リスクヘッジという名目の多角化こそ危険 #6

「うちの会社は、リスクヘッジのため色々な事業を展開しています」
経営者からこのような話をよく聞きます。

リスクヘッジという言葉は、もともと金融業界でよく使われていた言葉です。たとえば、株式投資を行う際、1つの投資先にのみ投資してしまうと株価が下がったとき、その分だけ損が生まれてしまいます。株価が上がれば利益も生まれますが、反面リスクも高いということです。しかし、複数の投資先を開拓した場合、同じ投資資金をつぎ込んだとしても、株価が下がるところもあれば、上がるところもあるので、大きな損をするリスクを軽減することができるのです。このようにおもに分散投資のことをリスクヘッジと呼んでいます。

どのようなカテゴリでも良いので一つの事業でシェア1位をとっていれば、そもそもリスクヘッジ自体必要ありません。
とれていないから、リスクを回避するためにという名目で事業の多角化を展開してしまいます。
特に戦略なき企業ほど多く見受けられる傾向が強いと感じます。

商品変えても客層変えるな。
商品三分に売り七分。

これはランチェスター戦略における定石です。
もともと経営資源が少ない弱者企業が多角化を進めていくと、人・物・金の経営資源がますます分散することになります。

売上をつくるどころか、パレートの法則に基づく利益の集中を起こすことが不可能になります。
多角化は傍目から見ればカッコよく見えます。しかしながらやればやるほど、数が増えれば増えるほど実は危険が増えていくことになります。
最終的にどの事業も利益が上がらず、何屋かわからない状態になってしまうのです。

集中の効果、分散の危険です。
地域、客層、営業(新規)顧客(維持)の営業関連4要因におけるウェイトは53%です。

経営においてお客さまづくりが最も重要で大変な苦労をするのに多角化となれば益々難しくなってしまいます。ましてや競合がひしめき合っているにも関わらずです。
そして社員は商品サービス(事業)の専門性は薄れ、数々の対応に追われ疲弊します。

まずは小さくても、どんなカテゴリでも良いので1位になることに戦略思考で経営パワーを一点集中する必要があります。
安直な考えは捨てて「考えて考えて考え抜く」ことが大切です。