戦略日記
お客から愛され続ける繁盛店にしよう #221

「10年間で5回、店が変わった」—。これは、弊社がある1階テナントの飲食店のことです。
最初は居酒屋でした。次にパスタ屋でその次はラーメン屋が二度、そして小料理屋になっていました。最後の小料理屋は、ここ一年で閉店となってしまいました。
ある統計によると、飲食店は毎年5〜8万件もの新規開業件数を誇る人気の業種である反面、廃業率が最も高い業種でもあります。
飲食店は他の業種に比べ最も廃業率が高く、開業から3年以内の廃業率は70%、5年で80%、10年では90%以上と言われているほど生き残るのが難しい業種です。
「開業に必要な資金が貯まったから」「どの店より美味しい料理を作る自信があるから」など、意気揚々と勢いで開業するオーナーが一般的に多いのではないでしょうか。しかしながら、たとえ料理の腕に自信があっても、美味しいだけでお店を繁盛させるのは大変難しいのです。
美味しいかどうかは、店に行ってみないとお客はわかりません。この一番最初の「知ってもらう」という集客に繋げる認知活動が不足しているのです。調理師以外のキャリアを持たずに開業した事業主は集客に関しての知識が浅い傾向があります。
なぜなら調理の仕事をしているのは料理が好きだからという理由から、調理の知識や腕を磨くことにリソースを注ぎ込んでいるためです。よって経営者目線ではなく、料理人目線での経営になりやすく「美味しい料理を作り続けていれば、自然とお客様は集まってくる」といった理想論(願望)に囚われがちになります。
飲食店に限らず、来店型の店舗ビジネスにおいてもランチェスター法則は作用します。そのためには、開業前から戦略の基礎知識を学び、参入を考えている業態において、出店予定地の立地調査を行い、対象とする客層とニーズの有無や周辺の競合の調査と比較、コンセプトや店舗の内外装デザイン、集客方法、メニュー内容、価格設定などを充分検討し、戦略事業計画書を作成する必要があります。
また、集客の告知活動は開店前日に近隣への折込チラシやポスティングのみではいけません。開店当日にお祝いの花輪スタンドが出て一瞬の賑やかさで終わってしまうことでしょう。事前の仕掛けごとが必要となります。もちろん、初来店の後の顧客維持活動の施策を仕組みとして予め準備しておかなければいけません。
飲食店の現場は、大変慌ただしく動き回ったり、終日立ちっぱなしで忙しい時間は休憩どころか、コップ一杯の水させ飲めないこともあるでしょう。とても苦労してやっと漕ぎ着けた自分の店をお客から愛され続ける繁盛店にするためにもランチェスター戦略を学んでほしいと痛感します。