戦略日記

信頼を語る前に約束を守る #266

信頼を語る前に約束を守る #266

「信頼が一番大事だ」と語る経営者は多いものです。しかし、その一方で返信期限を守らない。入金期限も遅れがち。資料提出は督促されてから。打ち合わせの開始時間も曖昧。私はこれまで数多くの中小企業で、この矛盾を目の当たりにしてきました。

はっきり言えば、小さな約束すら守れない人に“信頼”を語る資格はありません。信頼とは、気持ちの問題ではなく、能力の問題でもなく、ただ一つの行動によってしか積み上がらないものです。その行動とは「約束を守ること」に尽きます。これ以外に本質はないと思っています。

返信期限を守る。入金期限を守る。依頼事項に抜け漏れがないよう管理する。できない約束は安易に引き受けない。これらは一見すれば小さなことばかりです。経営とはこの“微の集積”でしか成果が出ない世界です。強い会社も弱い会社も、結局は日々の小さな約束の扱い方で明暗が分かれるのです。

そして重要なのは、これらの一つひとつを、お客のみならず社員が必ず見ているという現実です。社長が期限を守らずに、社員に「段取りをしっかりやれ」「責任を持て」と言っても響きません。社長が督促されてからようやく動くのに、社員に主体性を求めても無理があります。

中小企業の会社の文化は、社長の背中からしか生まれません。そして、社長の日常の振る舞いこそが、信用力を決定します。中小企業にとって 約束を守るという姿勢こそ、最も身近で最も効果的な差別化なのです。

では、どうすれば約束を確実に守れるのか。その答えはシンプルです。約束の期限から逆算して準備すること。期限から逆算して“いつ何をすべきか”を決め、前倒しで片づけていく。

これを習慣化するだけで
・焦りが消える
・トラブルが減る
・信用が積み上がる
・社員の行動レベルが上がる
・競争で後手に回らなくなる

つまり、負けない経営が手に入ります。逆算の実行計画こそが、必須条件となります。逆算を怠れば、約束が守れない。約束が守れない経営者は、準備が足りていない。準備が足りていない会社は、競合と戦う前からすでに敗北しています。

だからこそ、約束を軽く扱う経営者は、競争では常に後手に回り、気づけば負けています。一方、約束から逆算し準備を整える会社は、戦う前から勝ちに近づいているのです。

約束を守ることは、精神論ではありません。信頼も自信も、気合や想いから生まれるものではなく、小さな約束を確実に守り切るという“再現性”の積み重ねからしか生まれません。