戦略日記

成果が出ない会社ほど戦術に走る #280

成果が出ない会社ほど戦術に走る #280

社員から「また新しいコンサルですか?」と言われる。これは、実は非常に重い言葉です。表面上は軽く聞こえますが、その裏には「どうせ続かない」という諦めと不信が含まれています。これはコンサルの問題ではありません。経営者の問題です。もっと言えば、「一貫性がない経営」の典型です。

多くの中小企業の社長は、何とか売上を上げたい、何とか会社を良くしたいという強い思いを持っています。その結果、セミナーに参加し、新しい手法を学び、良さそうだと思えばすぐに導入しようとします。その行動自体は決して悪いことではありません。

しかし問題は、その前にやるべきことをやっていないことです。それは「戦略の決定」です。どこの、誰に、何を提供するのか。この軸が定まっていないまま、次々と手法を取り入れるから、現場の社員は振り回され、疲弊するのです。

例えば、集客のやり方、SNSの運用、営業トーク、チラシ改善、SEO対策…。しかし、それらはすべて“戦術”に過ぎません。そしてその都度、外部のコンサルタントが入る。あるコンサルは「Instagramを強化しましょう」と言う。別のコンサルは「チラシを打ちましょう」と言う。また別のコンサルは「紹介営業を仕組み化しましょう」と言う。どれも間違いではありません。しかし、どこの誰に向けた施策なのかが曖昧であれば、すべて的外れになるのです。

これはまさに、的のないところに弾を撃っている状態です。当たるはずがありません。なぜなら、戦略とは「やらないことを決めること」だからです。ところが戦略がない状態では、すべてをやろうとする。結果、分散し、力は薄まります。

ランチェスター戦略では、「戦略と戦術の比率は2対1」と言われます。つまり、戦略が先であり、戦術は後です。しかし現実は逆転しています。多くの会社は戦術に時間とお金を使い、戦略を後回しにしています。だから成果が出ないのです。

さらに問題なのは、戦術中心のコンサルは、目に見えることに注力します。すぐにできる、すぐに変えられる、すぐに成果が出そうに見える。だから社長も飛びつきやすい。しかし、それは短期的な変化に過ぎず、継続的な成果にはつながりません。そしてまた次のコンサルを呼ぶ。これが繰り返されます。

戦術は、戦略が決まって初めて意味を持ちます。戦略が決まれば、やるべき戦術は絞られます。逆に戦略がなければ、戦術は無限に広がり、すべてが中途半端になります。これが“分散は死”の正体です。

社員はすべて見ています。また新しい手法か、それとも一本筋の通った取り組みか。その違いは一目で分かります。「また新しいコンサルですか?」という言葉は、社員からの警告です。その本質は、「社長、軸を決めてください」というメッセージなのです。

戦術ばかりを追いかける経営者は、戦っているのではなく“迷っている”だけです。戦略なき努力は、報われません。戦略ある一点集中だけが、結果を生みます。経営とは、選び続ける連続とも言えます。先ず何を選択するかがスタートとなるのです。