戦略日記

もっと大事なことに時間を使おう #300

もっと大事なことに時間を使おう #300

経営者と話をしていると、「とにかく忙しい」という言葉をよく耳にします。朝からメールを返し、電話に出て、社員から相談を受け、お客様の対応をする。見積書を確認し、会議に出て、気がつけば一日が終わってしまう。確かに、どれも必要な仕事です。

最近、私は強くこう思うようになってきました。「もっと大事なことに時間を使おう」私たちは、目の前に飛び込んでくるものを「大事なこと」だと思いがちです。電話が鳴る。メールが届く。誰かから呼ばれる。「今日中にお願いします」と頼まれる。こうした仕事には締切があり、相手がいて、放っておけば問題になります。だから、自然と優先順位が上がります。

ところが、本当に大事なことほど、私たちを急かしてきません。
会社の将来を考えること。
自社の強みを磨くこと。
どの商品に力を入れるのかを決めること。
どの地域で一番になるのかを考えること。
どんなお客様に選ばれる会社にするのかを考えること。

今日考えなくても、誰からも催促されません。明日に延ばしても、すぐには困りません。だから私たちは、「急かされること」と「大事なこと」を錯覚してしまうのです。ここに、経営者の時間の使い方の難しさがあります。

ランチェスター戦略では「選択と集中」を重視します。これは商品、地域、客層だけの話ではありません。経営者の時間にも、選択と集中が必要です。一日は誰にとっても24時間です。

限られた時間を目の前の仕事に使えば、本当に大事な仕事に使える時間は、その分だけ減っていきます。つまり時間の使い方とは、単なるスケジュール管理ではなく、何を大事だと判断するかという、経営者の意思決定そのものです。

経営者にしかできない仕事があります。会社がどこへ向かうのかを決める。どこで戦うのかを決める。何を捨て、何に集中するのかを決める。限られた経営資源をどこへ配分するのかを決める。これらは、誰も「今日中にやってください」とは言ってくれません。だからこそ、経営者自身が意識して時間を取らなければ、いつまでも後回しになります。

一生懸命働いている。毎日忙しくしている。それなのに、会社がなかなか前へ進まない。だとすれば、努力が足りないのではなく、大事なことと、そうでないことを取り違えているのかもしれません。

忙しさは、仕事の重要度を教えてくれません。むしろ、目の前の忙しさによって、本当に大事なことが見えなくなることがあります。今日一日、自分は何に時間を使ったのか。それは、急かされたからやった仕事なのか。それとも、自分の意思で「これは大事だ」と決めて取り組んだ仕事なのか。

大事なことほど、急かしてこない。だからこそ、経営者は自ら大事なことを見極め、そこに時間を配分しなければなりません。もっと大事なことに限られた大切な時間を使おう。時間の使い方には、その経営者の戦略が表れると思います。