戦略日記

戦略の構築で価格高騰に対応する #62

戦略の構築で価格高騰に対応する #62

価格高騰が続いています。

30年間続いたデフレ経済は終焉を迎えインフレ経済が始まっています。これまで私たちは、安くたくさん売る経営を刷り込まれてきました。

安くしてもなかなか売れません。売れないから、更に値下げをして何とか売ろうとします。「高いブランド品は売れない。安い商品がヒットしている。」とニュースで騒がれれば、「うちも値下げしなければ売れないのか。」「もっと単価を下げないと売れない時代なのだ。」と不安になってしまい、どんどん値下げを許容していってしまいます。

しかし、小さな会社が大きい会社を相手に値下げ合戦の消耗戦を行った場合、短気で決着がつけばよいのですが、長期戦になればなるほど小さな会社が不利になるのは必定です。

ローコスト経営の仕組みがないのに、精神論で戦っていたのでは経営破綻へまっしぐらとなります。何故なら、値段を下げれば粗利益が減り、数が増えれば社員やスタッフの人員が必要になり、経費も連動して上がります。売上は上がるけど、利益は全然上がらないどころか赤字が続いていくからです。

これでは、経営体力がない小さな会社は社員と共に疲弊します。

そもそも高いか安いかは、相対的なものであり、もともと高いものや有名なものが安くなればお買い得感がありますが、小さな会社の聞いたことがないような商品が少々安くなったからといっても、ここに価値を感じるお客は少ないのです。

いつまでも安売りが大切で、ひたすら売上を上げていく経営を続けていくと最悪のゴールが待っています。

仕入れ価格が上がっていく中で、売価に転嫁できない企業も早かれ遅かれ淘汰される確率が上がっていきます。特に客層戦略から導き出された商品戦略の再構築が急務となります。

孫子は、勝つこと、すなわち目的を達成することに集中して、ズルズルと戦いを長期化させてはならないと説きました。

このような道理を心底理解している経営者こそが企業の命運を握る守護者であり、社員をリードし守り、会社を存続させるトップリーダーであることを許されます。

人口減少と価値の多様化により市場はますます縮小、細分化されています。お客さんの目も肥えており、小手先の戦術ばかりを膨らませ手数を増やしたところで通用することなどあり得ないのです。