戦略日記

広告物を軽んじてはいけない #249

広告物を軽んじてはいけない #249

中小企業にとって、デザインや広告は「余裕ができたらやるもの」と軽んじられがちです。目の前の売上確保や諸経費の支払いに追われ、どうしても後回しになってしまいます。しかし、戦略経営を考えると、デザインや広告は単なる飾りではなく、生き残りをかけた「武器」になります。

なぜなら、顧客は商品やサービスの「中身」だけで判断しているわけではないからです。初めて接する会社や商品に対して、顧客はわずか数秒で「信頼できるか」「魅力があるか」を直感的に判断します。その際に決定的な役割を果たすのが、広告やデザインといった「見せ方」なのです。

街を歩けば、数多くの中小企業の広告が目に入ります。店頭ポスター、看板、チラシ、ウェブサイト、SNS投稿…。しかし、その多くは残念ながら「美しくない広告」です。文字が読みにくい、色が氾濫して落ち着きがない、統一感がなく安っぽい等の結果、「信頼を損なう出来栄え」になってしまっているケースが少なくありません。これらは単なるデザインの失敗ではなく、戦略を軽視してきた結果の「経営課題の表れ」だと言えます。

人材や予算を割くことが難しいため、パワーポイントが得意な社員や事務員に「広告づくり」を任せてしまう企業もあります。しかし、それでは表面的には形になっても、多くの場合「素人デザイン丸出し広告」になり、顧客の目には一瞬で伝わってしまいます。結果として、せっかくの戦略が台無しになってしまうのです。

忘れてはならないのは、どれほど経営戦略を練っても、最初に顧客が目にするのは「広告」だという事実です。ホームページ、チラシ、名刺などの第一印象が「信頼できそう」「しっかりしている」「魅力的だ」と思ってもらえなければ、最初の接触すら出来ません。しかも広告は顧客だけでなく、競合企業にも必ず見られています。広告はまさに、戦略を翻訳して市場に示す「旗印」なのです。

ここで重要になるのが「ブランディング」です。美しい広告とは、派手さや豪華さではなく、戦略に基づいて情報が整理され、誰に向けて何を伝えるのかが明確であり、一貫して表現されているものです。安心感や信頼感を与える余白の取り方、適切な色使い、統一されたトーン。これらが備わっている広告は、対象顧客に直感的な魅力と安心を与えます。

中小企業にとって、広告やデザインはコストではなく戦略的投資です。専門人材を雇えないなら、せめて「戦略を理解している専門家の知恵を借りる」仕組みを持つこと。それがなければ、せっかくの戦略も素人感漂う広告によって台無しになり、機会損失となってしまいます。

顧客から「素晴らしい」と思ってもらえる質の高いものを、量を伴って投入してこそ成果に繋がるのです。「チラシを大量に撒いても反応がない」と嘆く経営者の声をよく聞きますが、質が低いままで、いくら量をかけたとて良い結果が出るわけがありません。

新しいお客とどうやって知り合うか。その鍵を握るのは広告であり、その質が今後の経営の命運を左右します。だからこそ広告を疎かにするのではなく、重要な経営課題として取り組む必要があります。