戦略日記
顧客とファンの違い #252

企業が成長するうえで「顧客」と「ファン」の違いを理解することは極めて重要です。
顧客は、商品やサービスの持つ機能や利便性を評価し、その対価を支払ってくれます。例えば飲食店であれば「手頃な価格で美味しい食事を提供してくれる」ことを理由に来店する人たちです。つまり顧客は、「機能的価値」によって動いている存在といえます。
一方、ファンは、商品そのものよりも、そこに込められた意味やストーリー、経営者や提供者の想いに共感して応援してくれる人たちです。飲食店であれば「この店主の生き方が好きだから」「地域に根差した取り組みに共感するから」「このお店がなくなると困るから」といった理由で通い続けます。顧客が“機能”を買っているのに対し、ファンは“意味”という価値を買っているのです。
ここに、経営を持続的に強くする大きなヒントがあります。機能だけであれば、競合他社がより安く、より便利に提供すれば簡単に顧客は離れていきます。しかし意味に共感するファンは、価格の上下や多少の不便さを超えて支持を続けてくれます。つまりファンを持つ企業は、競争の中でもブレない強さを発揮できるのです。
経営者自身が「自社の存在意義」を明確にし、それを戦略として打ち出すことにあります。単なる商品改良や値引きキャンペーンではなく、「なぜこの事業をしているのか」「誰のためにどんな未来をつくりたいのか」を語り、それを日々の経営行動に落とし込むことが必要です。
理念や1位づくりの目的を土台とし、地域戦略・客層戦略・商品戦略へと展開していく。これが“意味を生み出す経営”につながります。
顧客は商品を買ってくれる人。ファンは企業を応援してくれる人。この違いを理解した経営者こそが、市場に根を張り、競争に揺らがない会社を築いていけます。そのために必要なのは、経営の正しい知識を仕入れ、戦略を学び、会社を強くする覚悟が必要になります。
そして、熱烈なファンになってもらうには、ブランディングを行い、明確にメッセージとして言語化し、社内外に発信し続けることが重要です。これが競合と比べて卓越した優位性を築くことになります。