戦略日記
社長は数字から目を背けてはいけない #296
戦略MQ会計セミナーで、参加者の皆さんに質問をします。「数字に強いと思う方、手を挙げてください。」すると、ほとんど手は挙がりません。反対に、「私は数字に弱いです。」という経営者は、8割以上いらっしゃいます。
しかし、本当に数字に弱いのでしょうか。私は違うと思います。正確には、数字を知らない。あるいは、数字を見ようとしていない。これが実態ではないでしょうか。経営者は毎日、数字に囲まれて仕事をしています。
売上はいくらか。預金残高はいくらか。今月の支払いはいくらか。こうした数字を誰もが気にしています。ところが、経営の本質に関わる数字になると、急に見なくなります。粗利益率は何%か。一人当たり粗利益はいくらか。損益分岐点はいくらか。固定費はいくらか。値上げをすれば利益はどれだけ増えるのか。これらは、会社の未来を左右する重要な数字です。
数字は経営者を責めるためにあるのではありません。現実を教えてくれる経営の計器です。計器を見ずに飛行機を操縦する人はいません。それなのに、経営では計器を見ないまま会社を運営してしまう経営者が少なくありません。
「忙しいから。」「会計は苦手だから。」「税理士に任せているから。」そうして数字から目を背けているうちに、利益は少しずつ減り、資金繰りは悪化していきます。そして、資金が底をつきそうになってから。銀行から追加融資を断られてから。支払いができなくなってから。ようやく相談に来られます。
しかし、その段階では、打てる手は限られています。私はこれまで、多くの経営相談を受けてきました。だからこそ、強く思います。数字は、何ともならなくなってから見るものではありません。何とかできるうちに見るものです。数字を早く見ていれば、防げた赤字があります。避けられた資金ショートがあります。守れた会社があります。経営者に必要なのは、数字の才能ではありません。
数字から現実を読み取り、意思決定の根拠にすることです。経営には、必ず「原因」と「結果」があります。利益が出るのも原因がある。利益が出ないのも原因がある。数字は、その原因を教えてくれる最も重要な情報です。原因を正しく捉えれば、打つべき手が見えてきます。
打つべき手が変われば、結果が変わります。結果が変われば、会社の未来も変わります。だからこそ、数字から目を背けてはいけません。社長は、数字を見ましょう。数字から原因を見つけましょう。そして、その原因に手を打ちましょう。その積み重ねこそが、会社の未来を変える第一歩なのです。