経営戦略

孫子の兵法

孫子の兵法とは、紀元前500年頃に中国の孫武という思想家が書いた、戦略論として非常に評価の高い軍事学の教典です。孫子の兵法は、戦には法則性があり、それは心理戦であることを示しています。 従来の兵法では「武運によって勝敗は決する」という思想が強かったなか、孫子では「人為によって勝敗が決する」と断言し、理論的に説明されています。
全13編で構成されており、これらの考え方は現代のビジネスにおいても十分に応用することができます。ビル・ゲイツなど名経営者と称される諸氏が愛読して経営戦略に取り入れたことでも有名です。 ランチェスター戦略とは、現代の孫子の兵法と言われるほど、密接な関係性と親和性の高さがあります。

五事七計

戦争の大筋を把握する際は、「道・天・地・将・法」の五事で考え、自軍と敵軍を比較する際は、「君主・将軍・天地・法令・兵衆・士卒・賞罰」の七計で考えます。
戦いは国家の大事です。領民の生死が掛かっている場であり、国家の存亡の分かれ道でもあることから深く熟考しなければなりません。よって、戦いについて検討する際は「五つの基本原則(五事)」を元に考え、彼我の戦力を「七つの基本条件(七計)」で判断するべきとされています。 ライバルと生き残りをかけて競争していくことは、現代の企業経営においても社員や取引先などの生活がかかっている「大事」です。その「大事」に際して、熟慮し決断する際の材料として「五事七計」は、二千数百年経った今でも色褪せない内容だと言えます。

ランチェスター法則とは

彼を知り己を知れば百戦殆うからず

“彼を知り己を知れば、百戦してあやうからず。彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らずして己を知らざれば、戦う毎に必ずあやうし。”
敵の実情を把握し、味方の実情も把握していれば百戦戦っても危険はない。敵の実情を把握せず、味方の実情だけ把握していれば勝敗は五分である。敵と味方のどちらの実情も把握していなければ、戦うごとに危険な状況に陥る。

戦わずして勝つ

「戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり」
戦わずして敵を屈服させるのが最善であると書かれています。これは孫子が最も理想とする兵法である「戦わずして勝つ」を表しています。「戦わずして勝つ」とは、戦争による損益を考えた思想です。勝った時に最上の利益が得られるのは、自分も相手も無傷の状態であることが明らかです。 このような基本的な考えは、経営の基本戦略となり、現代の経営においても戦略の進め方や組織のあり方にも通用する普遍性を持ったものであると言えます。